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外資系B2B SaaSエグゼクティブ対談:インサイドセールスリーダーはどう変化に適応するべきか(後編)

2020年12月からJAPAN CLOUDは「外資系 B2B SaaS インサイドセールスリーダー講座」を開催しています。11月16日にプレイベントとして行われたオンラインセミナー「外資系 B2B SaaS企業 インサイドセールスリーダー講座プレイベント」では、前編に続き小関貴志が2人のゲストと共に語り合いました。

講座のプログラムや講師の略歴は公式サイトをご覧ください。
公式サイト:https://www.japancloud.jp/academy-insidesales

​目次

 

レーのバトンパスに似ている?リードの渡し方

小関

前編までの話に関連し、次のテーマ「顧客の変化を受け、セールス&マーケティングはどう変わっていくか?」に移りたいと思います。変化に対応するため、インサイドセールスはどう変わるべきでしょうか。例えば、今までよりも営業に渡すタイミングを遅らせるか。それとも早めるのかなど。伊田さんはどう考えていますか。

伊田

福田さんが前編の冒頭で話したように、インサイドセールスはその会社で最初にお客様と話す役割を担います。お客様がその会社の製品やサービスを認識し、検討する。今は売り手と買い手の情報格差が縮まり、買い手が客観的な情報を集めて判断を下すことができる。弘中さんが話したように、インサイドセールスもフィールドセールスも、会社としてはお客様に正しく情報提供を行うことが重要です。購買の意思決定に必要な情報をどのチームが見込客に対して提供するのか。切り分けのタイミングは自社が扱う製品の抽象度と複雑度で決まると思います。この2つが高い場合は早い段階でインサイドセールスに渡す方がいいですね。

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小関

それはMQL化の基準を変えるということですか。

伊田

マーケティングがやった方がいいことと営業がやった方がいいことの2つがあった場合、購買工程の下流に近いほどお客様毎の背景や文脈(コンテキスト)の理解や、それに即した情報提供が必要になり、これらは営業がやる方がいいということです。”MQL”はマーケがやった方がいいこととインサイドセールスがやった方がいいことの区切りのポイントでもありますから、MQLの定義をどこにおくかはマーケティングと営業がよく話し合って決めるべきことだと思います。

弘中

営業が情報を伝えて商品・サービスを売り切るというのは少しずつ変化していくと思います。代わりにお客様の購入の背中を押す。これはマーケティングだけでは難しいことです。どのタイミングで背中を押すか。そのタイミングを正しく把握することが重要です。お客様が迷っているのであれば、営業に渡して一緒に頑張るのもよし。営業はカスタマーサクセスに近い半歩先の動きをするのもよし。代わりにカスタマーサクセスはよりプロダクト開発チームにユーザーの声を伝えるような動きが必要とも思います。

小関

今のお二人の話を聞いていて思ったのは、明確なクライテリアで引き渡し条件を決めるのもいいけれど、無理のない範囲で引っ張れるところまで引っ張っても構わないし、早めに引き渡しても構わないということです。

伊田

陸上の400メートルリレーでは、バトンを渡す走者は次の走者に走りながらバトンを渡します。バトンを受け取る側も立って待っているわけではありません。前の走者と一定区間伴走する動きが求められるわけですね。

弘中

その動きができるかどうかは、その会社の事業ステージも影響すると思います。今のスマートドライブではできますが、それはインサイドセールスが5人の組織だからです。インサイドセールスが100人いる組織になれば、曖昧さを残すことが、KPIに即した評価をするという部分と矛盾してきます。一度KPIを決めると変えにくいですし、100人の組織にもなれば誰から来るトスも一定のクオリティを担保させる方に注力した方が良いとは思っています。ですので組織が大きくなる過程においては、できるだけ早期に自社の成長ストーリーや採用計画、レベニューチームの動き方に適した運用にしないと破綻してしまいますから、早く始める必要があります。

 

受注確度を高める自社の戦略とお客様のビジネスの理解

小関

リレーの例はわかりやすいですね。3つ目のテーマに行きたいと思います。「顧客の購買スタイルの変化の中で、インサイドセールスの価値や期待したいことは?」です。今までの話の中でも多くのヒントがありましたが、改めて今日ご参加いただいている皆さんに期待したいことを語っていただけますか。

弘中

スマートドライブのメンバーによく言っているのは、「自分たちが成長しな
いと会社は発展しない」ということです。この成長というのはインサイドセールスとしてのスキルアップという意味での成長ではなく、経営層/マネジメントレイヤーに近づけるかという成長です。例えば、今の事業フェーズで「何としても取りにいかなければならない案件」を判断できるかなどです。マルケト時代、企業スコアはおそらく低くなりそうではあるものの、大きな成長ポテンシャルを感じた会社に出会いました。また、別の会社は今では株式公開をして大きく成長しているのですが、最初に電話をかけた際、社長から「うちの事業を知っている?何に困っていると思う?」と逆質問されたことを覚えています。この会社を取れば、日本のスタートアップ市場におけるプレゼンスを高めることができる。そんな判断ができるようになるには、自社の戦略と相手の会社がどんな仕組みで動いているかを理解していなくてはなりません。お客様の課題を見極め、どの会社よりも早く解決策を伝えるのがインサイドセールスの役割です。それができれば、将来のキャリアパスも拓けると思います。

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小関

マルケト時代を振り返ると、弘中さんからのピッチには「この会社は行った方がいいと思います」という強いを意思を感じるアポイントが多かった印象です。誰もが知っている会社もあれば、そうではないところもありましたが、営業がなぜ行くべきかを明確に伝えられていたと思います。そのスキルはこれからのインサイドセールスリーダーに不可欠なスキルだと思うのですが、いつどこで身に付けたのですか。

弘中

おそらくセールスフォースで営業をやっていた頃だと思います。セールスフォースの営業は「テリトリーオーナー」という考え方で動いており、自分が割り当てられているテリトリーに対し、どうアプローチするかは自分の頭で考えて動くことが求められました。例えば僕が担当している地域に時はどんな会社があり、どういうチャネルを使ってどうアプローチすると最も効率的にその地域を攻略できるかを常に考えていましたね

小関

会社の規模が大きいか小さいかではなく、自分の頭で考え抜いた経験があると。弘中さんは、マルケト時代は何を基準に営業に渡していましたか。

弘中

当然一番は受注確度ですね。BANT条件や受注までのプロセス合意ということもそうですが、自分自身は営業としてのキャリアが長かったので、自分ならばこれは決められるなというのもありました。マルケトのユーザー会で感じていたことではありますが、有名な会社だから先進的な方がいるかというとそうではありません。まだ知られていないこれから伸びる会社にも、先進的でコミュニティをものすごく盛り上げていただける方々がたくさんいらっしゃいました。それを感じた時には、ネームバリューや会社としての成長ポテンシャルに加えて、担当者の方のスキルセットがものすごく高い。あるいは一緒に仕事をしたい(マルケトのコミュニティに入っていただきたい)と思えるものかなどで判断し、なぜ営業が行くべきかを伝えた記憶があります。

 

お客様との信頼関係を貯めることが求められるインサイドセールス

小関

伊田さんはどうですか。

伊田

対面で会えない今だからこそ、インサイドセールスへの期待は高くなっています。さっきの弘中さんの電話での逆質問の話は、「何の準備もなく電話をしない」ということでもあると思います。最近”テレアポ”と”インサイドセールス”の違いを聞かれることがありますが、インサイドセールスがストックであるのに対し、テレアポはフローと説明しています。テレアポではリストが足りなくなることがよくありますが、インサイドセールスではそうなることはありません。というのも、お客様の興味関心を理解した上で、これが役に立つと思う情報を提供し続けることで、信頼関係を貯める仕事がインサイドセールスだからです。インサイドセールスはお客様とのコミュニケーションを重ねながら信頼関係を蓄積し、案件を創り出す仕事です。そこがインサイドセールスへの価値や期待につながっているのだと思います。

小関

確かにそれはありますね。伊田さんの話にあった「信頼関係を貯める」という言葉に関連する言葉に「ナーチャリング」がありますが、これもお客様との信頼関係を醸成し続けることかもしれませんね。その先の時が来た時に、自分の顔を思い浮かべてもらえるようにすることが大事だとわかります。その一方で、オンラインで得たお客様には他の会社のインサイドセールスから連絡が来ていることだと思いますが、埋もれないようにするにはどうしたらいいでしょうか。

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伊田

弘中さんが話した通り、その会社にとって本当に必要な情報をどれだけ送っているかだと思います。そのためには買い手である会社のビジネスに情熱を持ち、その会社の課題解決につながる話をどれだけ具体性を持ってできるかが重要です。その意味で、リストを渡されて上から順番に電話をかけるテレアポと違い、インサイドセールスにはパーソナライゼーションが必要になります。

小関

テクニックの熱意は見透かされますか?

伊田

「なぜうちに電話をしてきたのか?」という疑問を持つお客様に納得できる答えを提示できるか。同時に(自社の)上司にも同じ理由を言えるかが、本当の誠意と見せかけの誠意を分けることになると思います。

弘中

「この人ならば、また電話がかかってきてもいい」と思ってもらえる関係作りをするわけですから、ナーチャリングには時間がかかります。業界に関する知見、法令動向など、知っておかなければならないことはたくさんあります。アンテナを張り巡らせ、「弘中さんは売り込みもするけど、話の中には私たちのプラスになる情報もいくつかある」と思ってもらえれば、「この課題の解決策は弘中さんに聞いてみよう」となる。インサイドセールスが良い情報発信をしても、販売プロセスを劇的に前に進めることはありませんが、来るべきタイミングで必ず自分に連絡が来るように勉強を続けることです。

小関

決め台詞でプロセスを前に進められるほど甘くはないということですね。ありがとうございました。

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JAPAN CLOUDを創設したアレン・マイナー氏とアルナ・バスナヤケ氏に、福田 康隆氏がスペシャルインタビュー。JAPAN CLOUD創設から今後の展望まで、その哲学や実績について訊いた。https://www.japancloud.jp/allen-aruna

 

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