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海外のB2B SaaSの分野において急成長しているテクノロジー企業と相互出資して日本法人を作る事業を行ってきたJAPAN CLOUD。そのチームには、IT業界を牽引してきた実績を持つメンバーが揃っている。
今回はJAPAN CLOUDを創設したアレン・マイナー氏とアルナ・バスナヤケ氏に、福田 康隆氏がスペシャルインタビュー。
JAPAN CLOUD創設から今後の展望まで、その哲学や実績について訊いた。

​目次

アレン・マイナー

JAPAN CLOUD 会長。1987年から日本オラクルの初代代表に就任。1999年にサンブリッジを創業し、米国のソフトウェア会社を日本市場に上手く導入する新しい手法を構築する。日本には20年以上在住し、日本語での読み書きが堪能。

アルナ・バスナヤケ

JAPAN CLOUD CEO。マルケト、ブラックライン 、New Relic、WalkMe、nCinoなどの多くのソフトウェア企業で取締役を歴任。豊富なオペレーション及びマネジメント業務の経験を有し、テクノロジーM&Aグループで様々な企業の実務をサポート。日本育ちで流暢な日本語を話す。

福田 康隆

ジャパン・クラウド・コンサルティング CEO。JAPAN CLOUDのパートナー。オラクルへ新卒入社し、セールスフォース・ドットコムとキャリアを積み、日本マルケトを社長として立ち上げた。日本でのビジネス構築に関して豊富な専門知識を持つ。

 

長期的にコミットしていくJAPAN CLOUDの投資スタイルの原点とは

福田

アレンと私はもともとオラクル時代の同僚。アルナとは、日本マルケトの立ち上げメンバーになったとき、アルナが取締役で、お二人とは長い付き合いになりました。アレンとアルナが親しくなったのは、セールスフォース・ドットコムやコンカーの日本法人立ち上げのときだと聞いていますが、当時の話を聞かせてもらえますか?

 

アレン

1995年ごろ、当時オラクルの同僚だったマーク・ベニオフ氏とともに、ユーティリティーコンピューティングを実現することを考えていました。4年後に、マーク・ベニオフ氏は企業向けクラウドサービスを提供するセールスフォース・ドットコムを創立。一方、私も日本オラクルのIPO(新規株式公開)を経て、1999年に日本でベンチャー投資事業を始めるためサンブリッジを創立しました。
 

その年、マーク・ベニオフ氏は日本の大手企業から「セールスフォース・ドットコムの日本の代理店をやらせて欲しい」という申し出を受け、私と当時の日本オラクルの社長であった佐野力(さの ちから)氏に相談をしてくれたのです。

 

外資系企業が日本法人を立ち上げる際、日本の総合商社やメーカーが代理店になって、そこから日本の子会社に切り替えるのはよくあるパターンです。しかし、このやり方で成功するかどうかは、コイントスで賭けをするようなものです。
  
オラクル在籍時、日本法人を立ち上げる難しさをマーク・ベニオフ氏は本社側から、私は日本側で体験して知っていました。だからこそ同じ苦労が極力ないよう、マーク・ベニオフ氏と私は「最初から最終的に成功する形をどういう風にデザインできるか」ということについて、いろいろと議論しました。

 

そして、セールスフォース・ドットコムの日本法人の立ち上げは、少数株主としてサンブリッジが入りサポートするという形にしたのです。サポート内容は、オラクルで私とマーク・ベニオフ氏が一緒に学んできたことをベースに、日本のカルチャーを大事にしながら、社長選出、事業の立ち上げ、本社と日本の法人の調整役までを行うことにしました。日本法人の立ち上げ方としては、これまでとは異なる新しいやり方でしたが、この方が上手くいくだろうと仮説を立てたのです。
 

結果として、合弁企業のモデルは日本法人の事業拡大をサポートし、グローバルの売上を牽引するうえでも大きく役立ちました。

福田

私もセールスフォース・ドットコムでは、社員として日本法人の立ち上げに関わっていました。サンブリッジとの合弁会社という形で生まれた日本のセールスフォース・ドットコムは、最終的に「10年経った後に本社に売却する」という形で進んでいきましたが、これがいまのJAPAN CLOUDのモデルの原型になっています。

 

アルナは、このセールスフォース・ドットコムの日本法人立ち上げのとき、投資銀行の立場で財務アドバイザーとして関わったと聞いていますが、そのときの話をきかせてくれますか?

 

アルナ

私はもともとエンジニアでした。その後、投資銀行であるドイツ証券に入社し、テクノロジーM&Aグループで様々なテック企業をサポートしていました。
 

当時、アレンとマークが設立した合弁会社は、Exitの条件が確定されていませんでした。本社のIPOが確定したとき、合弁会社を売却するかどうかという検討のためにドイツ証券に価格算定の依頼が入り、当時バンカーをしていた私は、合弁会社の企業評価を報告書にしてマークに提出しました。

そのときからアレンと定期的に会って相談するようになりました。アレンは私にとって友達であり、メンターのような存在でもあるのです。

アレン

アルナから合弁会社の企業評価の資料をもらいました。評価に関してもたくさんの議論を重ねた結果、最終的にIPO時には売却せず、さらに7年間パートナーシップを継続することができました。これは幸いなことでした。もし、短期間で売却されてしまっていたら、一緒に日本法人を立ち上げるプロセスに関わるチャンスを逃していたでしょう。

 

アルナ

パートナーシップの大事なポイントは、本社、JAPAN CLOUD、日本法人の全てのステークホルダーにメリットがあるモデルであることです。JAPAN CLOUDは、このモデルを20年かけて徐々に改善してきました。
 

例えば、合弁会社の存続期間や評価手法、日本法人特有のストックオプションプランなどが改善されています。合弁会社のモデルは常に改善していくので、2、3年前と比較しても、よりお互いにメリットがあるモデルになっています

 

アレン

アルナのいう通り、初期のころは、合弁会社をいつまで継続するのかという決まりが不明確でした。

 

また当初は、「もしかすると立ち上げた日本法人が、日本オラクルのように株式公開できるかもしれない」という仮説を持っていました。

 

しかし、いまは基本的に「8~10年経ったら本社に売却する」というモデルを想定しています。その方が日本法人の社長として、IPOのための準備といった余計なことを考えずに意思決定が行えると思っています。

 

福田

JAPAN CLOUDが8~10年という長い期間で関わることは、大きな特徴の一つです。日本で外資系企業に入社しようと考えたとき、立ち上げ当初の外資系企業はすぐに撤退するのではないかと不安を持つ方もいることでしょう。そういった点でJAPAN CLOUDは長期的なサポートが約束されているので、安心感があります。現在、ここで挑戦してみたいと考える人が増えてきている要因の一つにもなっていると思います。

 

日本進出を支援する3つの哲学

福田

アレンやアルナが「日本進出を支援したい」と考える会社はどのような会社ですか?

 

アルナ

日本進出を支援したい会社のお話をする前に、まずはアレンと私がこの事業を進めるうえで大事にしている3つの哲学についてお話させてください。

~3つの哲学~

・日本企業、市場への貢献
・日本企業の海外進出支援
・人材育成

一つ目は、日本企業、市場に貢献することです。日本企業の社内業務改善の促進や生産性の向上に結びつくサービスを日本に導入することで貢献したいと考えています。

 

二つ目は、日本企業が海外進出できるようサポートすることです。日本の成長のためにも、日本企業の海外進出は重要です。だからこそ、日本企業の海外進出に貢献したいと考えています。

 

三つ目は、人材育成の観点です。どうやって次の世代の人材や経営陣を育てるか。今よりもっとソフトウェアの開発やマネジメントスキルを育成していく必要があると考えています。

 

私たちはこれらの哲学をもとに、どのような企業の日本市場への進出および中長期的な成長を支援すべきかを考えていきます。

 

第一に、プロダクトが日本市場にフィットするかどうか。日本企業に必要とされるプロダクトであることが必須条件です。そのため、市場規模、対象となる顧客、競合など含めた事前の調査をしっかり行います。

 

第二に、KPIです。顧客に選ばれていることを示す売上や年間成長率といったKPIを重視します。

 

売上についてもう少し詳しくお話すると、私たちは過去の経験から、ARR(Annual Recurring Revenue: 年間経常収益)が100億円を超えると会社の成熟度が少し変わると思っています。日本市場など海外展開するための体制が整うタイミングです。100億円あるということは、財務的にも体力があり、マーケティングにかけられる予算や研究開発費の規模も大きくなります。日本のローカライゼーションも徹底できます。また、日本の顧客に対してもサポートができることもあるでしょう。

また、アメリカでも100億円を超えると IPOの準備が整ったと考えられます。ARRは、いくつかあるKPIのなかで重要な一つの要素です。

 

第三に、本社経営陣がどの程度私たちのノウハウやアドバイスを受け入れてくれるのか。どれくらい日本に関心があるか、ということも大事なポイントです。

 

アレン

いまのアルナの話を聞いて、アルナがすごく理論家だということが伝わったでしょうか? 私はというと、理論より直感を大事にします。
2000年当時のセールスフォース・ドットコムは5億円しか売上がありませんでした。さらには、ASPのSaaSのビジネスモデルは流行らないだろうと誰もが思っていたのです。いまの理論でいえば、日本市場への進出を支援しないことになります。

 

では、なぜ支援したかというと、社長のビジョンや実行力、そしてリーダーシップがすごいと感じたからです。会っていると面白く、一緒に時間を過ごすのが楽しくて刺激的でした。そして、日本については私たちの意見をしっかりと聞く姿勢も持っていました。

 

福田がいたマルケト本社のCEOフィル・フェルナンデス氏もすごくそれを感じた社長のひとりでした。この強いリーダーシップポテンシャルがあれば、この先もアメリカで成功し続けることができると思いました。そして、まだ売上が100億円になっていなくても「この会社は100億円の企業になる!」という感覚が持てたのです。
 

フィル・フェルナンデス氏は私たちが「日本ではこういう風にやる方が良い」と勧めれば、その意見を聞き入れてくれる姿勢がありました。
 

しかし、直感だけでは上手くいかなかったケースもありました。そのときの本社の社長もパワフルで素晴らしい起業家でしたが、本社が資金調達に失敗して運転資金がなくなってしまったのです。
 

そのような状況になってしまい、私たちは採用した日本法人の社長とそのチームをどう守ればよいのか、必死になって考えました。そして最終的に、日本法人をスピンアウトさせて別会社として設立することで、日本チームは解散せずに済んだのです。
 

この経験は、「何かが起こっても日本法人の社長や社員をサポートする」ための知見に繋がりました。
 

一緒にやる以上、私たちには本社に対しても、日本法人を引き受けてくれた社長に対しても、集まってくれた社員に対しても責任があります。だからこそ、JAPAN CLOUDになってからは100億円の売上規模の株式公開前後で、これからも成長が期待でき、グローバルカンパニーとしての永続性がある会社を支援することにしています。
 

 

福田

お二人の話を聞いていて、以前と比べて100億円規模の会社が増えてきたのだなと思いました。10年や15年前だと、そういう規模の会社はまだそれほどなかったですよね?

 

アレン

当時はSaaSの独立系ソフトウェア会社で売上が100億円規模の会社は2社しかありませんでした。

 

アルナ

現在では、100億円の売上がある会社が多くあります。

 

福田

アルナが言っていた「本社経営陣が日本に関心がある」という点についてですが、私が働かせてもらったオラクルとセールスフォース・ドットコム、マルケトの3社のCEOに共通していたのは、それぞれが日本に対する強い関心があったことや、そもそも日本が好きで、いい意味で特別扱いをしてくれたということがあると思います。

例えば、本社のCEOが毎年日本に来て、イベントにも出て、スピーチまでしてくれました。そうして興味を持ってくれることは、ありがたいことだと思います。それと同時に本社のCEOを惹きつける理由は、日本の社長が実績を出して、本社としっかり関係性を構築できているからなのだと思います。

~セレクトする会社の基準~

・日本企業に必要とされるプロダクトであること

・ARR100億円以上かつ高い成長率を維持している

・JAPAN CLOUDのノウハウやアドバイスを受け入れる体制があるか

・日本に対する強い関心があるか

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